伊豆の風土が育んだ奇跡の一滴「伊豆プティ・マンサン2024」- 日本ワインコンクール金賞受賞の軌跡と魅力に迫る
中伊豆ワイナリーに新たな風を吹き込んでくれた「伊豆プティ・マンサン2024」。
2025年に開催された日本ワインコンクールで、栄えある金賞に輝いたこのワインは、伊豆の豊かな自然と生産者の情熱が凝縮された、まさに奇跡の一滴と言えるでしょう。
本記事では、その快挙の裏側にある物語、そしてプティ・マンサンというブドウ品種の歴史、ワインの特徴、そして「伊豆プティ・マンサン2024」の比類なき魅力について、詳しくご紹介します。
日本ワインコンクール2025金賞受賞 - 快挙を成し遂げた「伊豆プティ・マンサン2024」
2025年、日本ワインの品質向上と普及を目的として開催された「日本ワインコンクール」。全国各地から集まった数多くのワインの中から、当社の「伊豆プティ・マンサン2024」が栄えある金賞に輝きました。
弊社では「伊豆プティ・マンサン2024」が高く評価された理由は、その個性と完成度にあると考えています。
プティ・マンサンという品種が持つポテンシャルを最大限に引き出しながらも、伊豆の風土を存分に表現した、ワインに仕上がったと思っております。
この受賞は、中伊豆ワイナリーで進められている新たなブドウ品種への挑戦が実を結んだことを証明するものであり、今後のさらなる躍進を期待させる起爆剤となるでしょう。
プティ・マンサンというブドウ品種の歴史と特徴
プティ・マンサンは、多くのワイン愛好家にとってはまだ馴染みのない品種かもしれません。しかし、このブドウはフランス南西部において古くから歴史を刻んできた希少品種なのです。
古い歴史を持つ、フランス南西部の希少品種
プティ・マンサンの原産地は、フランス南西部のバスク地方。ピレネー山脈の麓にあるジュランソンという地域で古くから栽培されてきました。
フランス語で「小さい」を意味する「プティ(petit)」と、ブドウ品種「マンサン(Manseng)」を組み合わせたものです。
長い歴史の中で、この品種は主に甘口ワインの原料として用いられてきました。ブドウが樹の上で水分が蒸発して凝縮されることで糖度が上がり、風味豊かなワインが生み出されることで知られています。
複雑なアロマと美しい酸が織りなすワインの魅力
プティ・マンサンから造られるワインは、非常に個性的で魅力に満ちています。最大の特徴は、その複雑なアロマと美しい酸です。
グラスに注ぐと、グレープフルーツやレモン、ライムといった柑橘系の香りに加えて、パイナップルやマンゴーのようなトロピカルフルーツの香りが広がり、さらにミネラル感や白い花のニュアンスも感じられます。
口に含むと、その印象はさらに深まります。
口いっぱいに広がるのは、豊かな果実の風味と、それを支えるしっかりとした高い酸味。この酸味がワインにフレッシュさと骨格を与え、重厚感のあるボディを感じながらも、決して重すぎない軽やかな仕上がりになっています。
伊豆の風土が育む「伊豆プティ・マンサン」
日本国内でプティ・マンサンを栽培しているワイナリーは増えてきているものの、まだ少ない中、伊豆の地でこの品種に挑戦し、成功を収めた生産者の情熱と、伊豆の風土が「伊豆プティ・マンサン」という唯一無二のワインを生み出しました。

(中伊豆ワイナリー全景 空撮)
温暖な気候と豊かな土壌がもたらす特別な個性
伊豆は、温暖な気候と豊富な日照時間に恵まれておりますが、決してブドウ栽培に適した土地ではありません。しかしプティ・マンサンは伊豆の地と相性が良く、この温暖な気候の中でもしっかりと完熟するポテンシャルを秘めています。
一般的に酸が下がりにくい品種ではあるものの、温暖な気候だからこそ酸が程よく下がり、甘みとのバランスが良いものになることで、より豊かな味わいを獲得することができるのです。
また、伊豆の土壌は、黒ボク土という地勢で火山灰土壌を多く含んでおり、ミネラル分が豊富です。このミネラルがブドウに吸収されることで、ワインに豊かな風味と旨味をもたらします。
生産者の挑戦と情熱が生み出した、唯一無二の味わい
伊豆でのプティ・マンサン栽培は、まさに挑戦の連続でした。
プティ・マンサンの特性を理解し、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、剪定方法から収穫のタイミングまで、細部にわたる工夫が必要でした。
収量をコントロールし、一房一房に凝縮した味わいを宿らせるための徹底した管理や、伊豆の気候に合わせた独自のアプローチが、今回の金賞受賞という結果に結びついたのです。
栽培家の絶え間ない努力と情熱が、この素晴らしいワインの根底にはあります。
「伊豆プティ・マンサン2024」の比類なき魅力
金賞受賞という栄誉を勝ち取った「伊豆プティ・マンサン2024」は、これまでのプティ・マンサンの枠を超えた、特別な魅力に満ち溢れています。
収穫年の気候がもたらした、特別な仕上がり
2024年の伊豆は、暖冬の影響でぶどうの萌芽や開花が例年より約10日ほど早く進みました。
5月から6月にかけては、短期間で集中的に例年の2倍以上の雨が降りましたが、日照時間は例年並みを確保できました。
8月の成熟期には雨がやや多く、気温がかなり高めに推移したことで、一部の樹に病気や疲れが見られましたが、収穫期の9月には雨が非常に少なく、日照量も十分だったため、ブドウは健全に完熟し、糖度と酸度のバランスが非常に良い状態で収穫できました。
この良好な状態のブドウから造られた「伊豆プティ・マンサン2024」は、凝縮感があり、力強い骨格を持った仕上がりとなっています。
複雑なアロマとフレッシュな酸の絶妙なハーモニー
グラスに注がれた「伊豆プティ・マンサン2024」は、輝きのある黄金色。*ディスクは厚くアルコール度数が高いことが伺えます。粘性もやや強めです。
柑橘系のフレッシュな香りに、金木犀の花や濃厚な蜂蜜の香りが複雑に絡み合います。
やわらかく甘味のある口当たりに、口中では適度な酸味が後半まで感じられます。また、最後にはかりん様の濃厚な余韻が長く続きます。
このワインは、単体でゆっくりと味わうのも良いですが、その高い酸と豊かな甘みは、様々な料理との相性を広げてくれます。ズッキーニやパプリカなど甘味の強い野菜の温野菜サラダ、イカのフリット、甲殻類中心のチーズフォンデュとも相性が良く、食事を一層引き立ててくれるでしょう。
*ディスクとは・・・ワインをグラスに注いだ時の液面の縁を指し、厚みや粘性などからアルコール度数の高低や甘口である可能性などを推測できます。
熟成による変化も楽しみな、期待のワイン
「伊豆プティ・マンサン2024」は、若いうちからその魅力を存分に楽しめますが、熟成ポテンシャルも非常に高いです。
数年寝かせることで、酸がさらにまろやかになり、蜂蜜やスパイス、ドライフルーツのような複雑な香りが強まり、より奥深い味わいへと変化していくことが期待できます。
ワインセラーで大切に保管し、数年後にその変化を楽しむのも、このワインの醍醐味の一つです。

(中伊豆ワイナリー地下1階 「志太とワイン」コレクションセラー)
まとめ
日本ワインコンクールでの金賞受賞という栄誉は、品質の高さと唯一無二の個性を証明していることはもちろん、栽培家、醸造家の努力と情熱が結実した賜物だと大変嬉しく思います。
ぜひ一度、この特別な一本を手に取り、伊豆の風土が育んだ奇跡の味わいを体験してみていただければ幸いです。
それでは、また!